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  [102] 原子力への投資の方法論ー山口さんはどう考えます?
  
        
  
こんにちは。
 最近、ある原子力の専門の方やそういった人達と話す機会があり、話していましたところ、
「なかなか研究費用が下りない」ということが問題になっています。
 基礎研究や実用化への見通しは相当良好で、実用化によるメリットは革新的なものなのらし
いのですが、金が下りないようなんです。
 前にも話した溶融塩炉(molten salt reactor)にそれが見られます。

 この炉の実用化は、1.原子力の死の灰消滅処理、2.ウラン・プルトニウム・トリウムなど燃
料を選ばずに燃焼できること、3.燃料製造のコストの大幅削減、4.放射性廃棄物が従来の半分
になる、などの大きなメリットがあります。
 しかし、研究費が下りないようなのです。

 基本的には、電気事業・原子力事業は一般的には半国家事業であり、これらについての研究
費等の投資義務は、国やそれに準じる機関の義務であると考えられます。
 しかしながら、今挙げた溶融塩炉のようなものの場合、民間ーつまり産業界や投資家から研
究費・開発費を集めねばならない場合が生じてくると考えます。
 これは基本的に至難であると考えます。

 そこで、考えてみたいのは、
「もし、投資家や産業界が、このようなものに投資できるか?」
「投資するとしたら、そのための条件とは何か?」
「投資家・産業界は長期の投資ができるか?どういう条件下なら投資が可能か?」
「投資期間のスパンはどれくらいが相応しいか?」
ということです。
 私はこれについて詳しくないので、山口さんなどにお答え頂ければありがたいのですが....
 
  
  
  
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  [104] Re(1):原子力への投資の方法論ー山口さんはどう考えます?
  
        
  
> 最近、ある原子力の専門の方やそういった人達と話す機会があり、話していましたところ、
> しかし、研究費が下りないようなのです。


独立行政法人になって以降、日本の大学関係者からその手の話しを聞くこともあったのですが、あれは本当に前途多難だと思わざるを得ませんね。5628さんのお知り合いの方の勤務先はわかりませんが、なんとなく状況は想像できる気がします。


> 基本的には、電気事業・原子力事業は一般的には半国家事業であり、これらについての研究
>費等の投資義務は、国やそれに準じる機関の義務であると考えられます。


エネルギー関連事業は半国家事業というより、国家事業そのものでしょう。なぜなら最終市場(末端電力価格)をコントロールしているのは政府ですから。

投資資金は官民を広く混ぜた「プロジェクト・ファイナンス」としてアレンジする手もあります。ぼくの専門ではありませんが、ある程度確立している手法で、一流の専門家をご紹介することも可能。この種の案件のボトルネックはひとえに法制度、政策、政治・社会面からのサポートなど、純粋なファイナンスとは別次元の部分にあると思う。従って現場の研究者ではなく、はるか雲の上の彼方にソノ気がないと事の性質上かなり困難でしょう。


> そこで、考えてみたいのは、
>「もし、投資家や産業界が、このようなものに投資できるか?」
>「投資するとしたら、そのための条件とは何か?」
>「投資家・産業界は長期の投資ができるか?どういう条件下なら投資が可能か?」
>「投資期間のスパンはどれくらいが相応しいか?」
>ということです。
> 私はこれについて詳しくないので、山口さんなどにお答え頂ければありがたいのですが....


そこらへんのボトルネックがクリアされ、民間が動けるに足る投資環境が整ってはじめて民間は動くと思います。セオリーやプロシージャーは大枠でこの世に存在しているのから、結局は上のヤル気(国策)次第。こういうイシューはボトムアップ方式の民主主義スタイルではニッチもサッチもいかない。全ては指導者層のビジョンや決断力に委ねられるでしょう。

で、現状では100パーセント無理なのでしょう。日本の原子力関連のファイナンスのことは全く知りませんが、これまでのお話しとぼくの一般常識から、民間が収益を上げるチャンスは皆無と判断できる。

「利益優先主義めっ!」・・・的な批判に先回りしておきますが、全ての民間人にとって会社等のリソース(ヒト・モノ・カネ)は自身の持ち物ではありません。また遊び金・税金・献金(爆)のように浪費可能なシロモノでもありません。株式会社である限り収益を上げるという至上命令は崩せず、そうでない会社は淘汰されてしまう。そういう世界に生きています。

そういう枠組みの範囲内でご協力できる部分があれば(その部分を作るのが前述のファイナンス手法なのですが)、タームは3年でも5年でも10年でも・・・というのが、民間サイドの考え方だと思います。なお投資に際して見込損失額が非常に大きく、かつ見返りがゼロの場合は、どんなに相手が強かろうとイラク戦に反対するドイツのような対応になるでしょう。

奉加帳を回すような案件ではないと思いますので。いろいろ書きましたが、民間の視点で一言質問するならば「で、そこに投資して、一体いくら儲かるんですか?」と。
 
  
  
  
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  [105] Re(2):原子力への投資の方法論ー山口さんはどう考えます?
  
        
  
>独立行政法人になって以降、日本の大学関係者からその手の話しを聞くこともあったのですが、あれは本当に前途多難だと思わざるを得ませんね。5628さんのお知り合いの方の勤務先はわかりませんが、なんとなく状況は想像できる気がします。

 その方は、「トリウム熔融塩国際研究所(ITHMSO)」という団体の長で古川和男さんと言われる方です。
 で、この炉「FUJI(不二)」という概念は、日米露の三カ国の研究者の手によるものであり、このコンセプトによるものの研究がLLNLのDr.R.Moirが代表となり、想に基づいた米政府予算申請(NERI: Nucl.Ene.Research Initiative)が、ORNL(Oak Lidge.Nat.Lab), ANL(Argonne.Nat.Lab.),Idaho Nat.Eng.Env.Lab., Univ.California, Berkeleyと共同(古川和男氏は海外協力者)でなされたということですが、予算は下りずのようです。
 一方、このコンセプトによる炉の実験炉のため、russiaのITP(Inst.Technocal Physics)が用地提供を申し出ているのですが、実験炉建設のための資金が不足。
 IAEA、OECD、NEAによる"innovative reactor"の一つに選出させており、いろいろな所から理解・賛同はもらっているようです。


>エネルギー関連事業は半国家事業というより、国家事業そのものでしょう。なぜなら最終市場(末端電力価格)をコントロールしているのは政府ですから。
>
>投資資金は官民を広く混ぜた「プロジェクト・ファイナンス」としてアレンジする手もあります。ぼくの専門ではありませんが、ある程度確立している手法で、一流の専門家をご紹介することも可能。この種の案件のボトルネックはひとえに法制度、政策、政治・社会面からのサポートなど、純粋なファイナンスとは別次元の部分にあると思う。従って現場の研究者ではなく、はるか雲の上の彼方にソノ気がないと事の性質上かなり困難でしょう。

 それしか方法は存在しません。
 もうすぐ、この団体のHPができるという事ですので、見てもらえませんか?
 その炉についての本「「原発」革命」という本は、宜しければ差し上げます。
 そうした方が、ご紹介などが円滑にいくと考えるからです。
(新興宗教ではありませんので.....)

>そこらへんのボトルネックがクリアされ、民間が動けるに足る投資環境が整ってはじめて民間は動くと思います。セオリーやプロシージャーは大枠でこの世に存在しているのから、結局は上のヤル気(国策)次第。こういうイシューはボトムアップ方式の民主主義スタイルではニッチもサッチもいかない。全ては指導者層のビジョンや決断力に委ねられるでしょう。
>
>で、現状では100パーセント無理なのでしょう。日本の原子力関連のファイナンスのことは全く知りませんが、これまでのお話しとぼくの一般常識から、民間が収益を上げるチャンスは皆無と判断できる。
>
>「利益優先主義めっ!」・・・的な批判に先回りしておきますが、全ての民間人にとって会社等のリソース(ヒト・モノ・カネ)は自身の持ち物ではありません。また遊び金・税金・献金(爆)のように浪費可能なシロモノでもありません。株式会社である限り収益を上げるという至上命令は崩せず、そうでない会社は淘汰されてしまう。そういう世界に生きています。

 それが「商法法人」の使命であり、目的ですので、いいのでは?
 

>そういう枠組みの範囲内でご協力できる部分があれば(その部分を作るのが前述のファイナンス手法なのですが)、タームは3年でも5年でも10年でも・・・というのが、民間サイドの考え方だと思います。なお投資に際して見込損失額が非常に大きく、かつ見返りがゼロの場合は、どんなに相手が強かろうとイラク戦に反対するドイツのような対応になるでしょう。

 
>奉加帳を回すような案件ではないと思いますので。いろいろ書きましたが、民間の視点で一言質問するならば「で、そこに投資して、一体いくら儲かるんですか?」と。

 今の規模に留まっても、従来の4倍は可能ではと考えます。(私の考え)
 古川氏の見通しでは数京円(数万兆円)/年の核エネルギー産業が可能との事です。
 全ての段階で商売となり、spent nuclear fuelがほとんど資産に化ける。
 高レベル廃棄物が高レベル廃棄物を消滅させる。
(「AMSB」が稼動した場合)
 基礎研究はされ尽くされているのですから、あとは「つくって動かす」という研究だけのようです。
 技術者は沢山いますが、その手の「プロジェクト ファイナンス」の専門家はいないようです。
 そういう方々は必要です。
 しかも、原子炉的にマイナーな物の故、一流の専門家の手腕が必要です。

 その国際トリウム熔融塩研究所の古川氏に聞いて見ますので、その節は宜しくお取り計らいの程を。
 もし良ければ、その本を差し上げます故、メールを送っていただければ幸いです。
 
  
  
  
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  [109] ノーマネーです
  
        
  
> 古川氏の見通しでは数京円(数万兆円)/年の核エネルギー産業が可能との事です。


個別に突っ込みたい論点も多々あったのですが、結論は上の一文を以って標記の通りです。

大変申し上げにくいのですが、古川氏は投資対象になりません。著書のオファーに感謝しますが、現時点では結構です。

かりに本気で信じていたとしても・・・数万兆円なんて言ったらダメですよ。平素こういう言動があるとすれば、官民問わずビタ一文出ないと思う。

先ず、現在の全世界のGDP総額と電力関連市場の規模を確認してください。技術はド素人ですが、今世紀中の実現可能性は0%だと衷心より断言します。現場の人なら仕方ないですが、組織のヘッドでしょう。現実感覚・金銭感覚・キャラクター、ひいては基礎研究のクオリティーもが疑われると思う。

戦略・アプローチの全般的な見直しをお勧めしたいです。他業界でリサーチャー・エンジニアの方にお目にかかる機会はありますが、ここまで桁数が違う人はいませんよ。
 
  
  
  
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  [110] Re(1):ノーマネーです そうでしょうね
  
        
  
>> 古川氏の見通しでは数京円(数万兆円)/年の核エネルギー産業が可能との事です。
>
>
>個別に突っ込みたい論点も多々あったのですが、結論は上の一文を以って標記の通りです。

 なぜそう申し上げたかというと、こちらにも間違いがあるのですが、この炉形は「同じ出力で同じ運転時間数の場合、軽水炉の半分の燃料を装荷すればよい」ということと、「廃棄物の量が軽水炉の半分になる」ということです。で、燃料の量が半分であることによるコスト減少と、廃棄物の量が半分になることによる処理コストの減少が、各々半分になるであろうと推測したためです。
 で、こちらが適当に「4倍くらいであろう」と思ったのです。すみません。
 浅薄でありました。
 現行の原子力エネルギー産業は、spent fuelが増大し続けるために、その貯蔵のためのコストが膨大になっている。(用地の圧迫も起きており、一坪あたりの利益がそのために減少している。土地の単位広さあたりに、どれだけの電力・燃料増殖による利益が反映されるかが、産業の維持を見る一つの指標(index, indicater)であると考えます)
 
>かりに本気で信じていたとしても・・・数万兆円なんて言ったらダメですよ。平素こういう言動があるとすれば、官民問わずビタ一文出ないと思う。

 いやあ、この数字がいきなり出たときにはびっくりしました。
 2ちゃんねるの記号で言えば、「 (゚Д゚)ハア」なんですが、とりあえず判断を仰ぐために書いた次第です。

>先ず、現在の全世界のGDP総額と電力関連市場の規模を確認してください。技術はド素人ですが、今世紀中の実現可能性は0%だと衷心より断言します。現場の人なら仕方ないですが、組織のヘッドでしょう。現実感覚・金銭感覚・キャラクター、ひいては基礎研究のクオリティーもが疑われると思う。

 日本の2001年におけるGDPが502兆6183億円ですからねえ.....

>戦略・アプローチの全般的な見直しをお勧めしたいです。他業界でリサーチャー・エンジニアの方にお目にかかる機会はありますが、ここまで桁数が違う人はいませんよ。

 多分、氏は「途上国の経済膨張」を考えて言ったのだろうと思います。
 しかし、日本のGDPの約20倍以上の産業はあるのでしょうか?
 どこから、そういう数字が出てきたのか、著者に聞いてみる予定です。
 どうもお目汚しにてすみません。

 私の考えは、著者と異なっている部分が相当あるのですが....

 ところで、仮にnuclear fuel cycleがあるとしたら、その収支体系は果たしてどう考えればいいのでしょうか?
 で、一つお聞きしたいのは、こうした核燃料サイクルを考える一つのきわめて大雑把な考えとして、こういう例えで考えてみてもいいものでしょうか?

 例えば、通常ゴミとされるAという物を、機械Bにかけて燃料Cを製造する事業と、その燃料Cを機械Dにかけて燃やして発電し、電気などを提供する事業を合わせた場合の大まかな収支は、
i.ゴミAにまつわるコスト(ゴミAを購入・搬入・保存するためのコストなど)
ii.機械Bの運転コスト
A.燃料Cの単位量(Unit)あたりの市場価格×生産量(利益)
iii.機械Dの運転コスト
B.電力の単位量(Unit)当たりの市場価格×生産量(利益)
として考えて、
(A+B)-(i+ii+iii)=全体の利益
という、ごくごく大雑把な利益の出し方でいいものでしょうか?
 私は、財務が苦手なのですが、こういう「核燃料サイクル事業全体の収支の算出方法」についての記述が、どこを見てもないのです。
 
  
  
  
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  [111] Re(2):ノーマネーです そうでしょうね
  
        
  
> なぜそう申し上げたかというと、(中略)と推測したためです。
> で、こちらが適当に「4倍くらいであろう」と思ったのです。すみません。
> 浅薄でありました。


そんな・・・謝っていただく必要全くありませんよ。利害関係がないんですから。


>>戦略・アプローチの全般的な見直しをお勧めしたいです。他業界でリサーチャー・エンジニアの方にお目にかかる機会はありますが、ここまで桁数が違う人はいませんよ。
>
> 多分、氏は「途上国の経済膨張」を考えて言ったのだろうと思います。
> しかし、日本のGDPの約20倍以上の産業はあるのでしょうか?
> どこから、そういう数字が出てきたのか、著者に聞いてみる予定です。


全世界のGDPは日本のGDPの7倍くらい。つまり、全世界の全ての産業と政府予算を積み上げても、その規模は日本経済の7倍程度のサイズにしかならないということです。


> ところで、仮にnuclear fuel cycleがあるとしたら、その収支体系は果たしてどう考えればいいのでしょうか?
> で、一つお聞きしたいのは、こうした核燃料サイクルを考える一つのきわめて大雑把な考えとして、こういう例えで考えてみてもいいものでしょうか?


サイエンス・フィクションの世界からノン・フィクションの世界に転換するために、以下のシュミレーションにトライすることがご参考になると思います。

=========================================

先ず5628さんや古川さんご自身が毎月エネルギー関連コストをいくら使っているか考えて下さい。ご自宅の電気代・ガス代、ガソリン代や電車代(一部)など。月額で大体いくらになりますか?

次に、赤ちゃんから老人に至る1億2000万人がその金額をエネルギー業界に落とすとして、年間で総額いくらになりますか?

最後に、その総額は調べていただいた日本のGDPの何パーセントくらいになりますか?

=========================================


電力会社・石油会社・ガス会社などのエネルギー業界は、その金額の範囲内で原材料を買ったり設備投資したり社員の給料を払ったりしているのです。また言うまでもありませんが、電気・ガス・ガソリン代などの支払い(orエネルギー産業の総売上)がご自身の収入(orその国のGDP)を上回ることはありません。エネルギー費用は生活費の一部分に過ぎないからです。

これでおわかりのように、エネルギーは必需品ですが、各人が負担できる金額には自ずと限度があります。だから政府は介入して市場を規制している。かりに原油相場(あるいは核燃料コスト)などの原材料が大きく値上がりしても、業者はそれをダイレクトに末端価格に上乗せするわけにいきません。また人々の収入が倍増したからこれも2倍使おう・・・という類の商品・サービスでもありません。そこらへんがこの業界の限界です。

「あなたのお客様はだれですか?」「そのお客様はあなたの提供する商品・サービスにいくら払ってくれますか?」。この2つに明確かつ説得力ある回答を用意することが先決。お客様が存在しないと事業は成り立ちません。それが企業であれ個人であれ政府であれ、払ってくれる金額の範囲内で魅力のある“付加価値”(=既存商品と同じモノなら安いことor同じ値段ならモノが良いこと)をつけないと、事業そのものが成り立たないのです。
 
  
  
  
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