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トマホーク・巡航ミサイルについては皆さんご存知のことと思います。
レーダーに感知されにくい超低空を飛行し目視カメラ付きのコンピューター制御により目標物を破壊するハイテク兵器であります。命中精度は100%に近く、狙った標的は外しません。これが湾岸に浮かぶ米国艦船から発射され数百キロ離れた目標へめがて飛んでいくわけです。
米国がこれを多用する理由は簡単です。発射ボタンを押すだけで確実に相手へめがて飛んでいき間違いなく標的を破壊するからです。そして失うものはその飛んでいったミサイルだけであり、尊い人命(米国軍人)を脅かすことはありません。したがって米国本土の出征兵士の家族から非難の声が上がるはずもありません。トマーホークを使えば安全な戦争が可能になるからです。
しかし、考えていただきたいのはこのトマホークの発射前の目標設定の段階です。目標設定のための情報に仮に間違いがあった場合です。これが間違っていた場合、本来の標的とは違ったものが破壊されます。さらにたとえ正確な情報であっても、その後に発射ボタンが押される直前までに、それまでに入手した情報とは違う別の状況がそこに発生していた場合、やはり本来の目的とは違う結果となります。そのいずれもそうですが、本来の目標とは別のものを破壊してしまった場合、いわゆる誤射ですが、この場合に失われるものの大半は戦争とは無縁もの、すなわち民間の人たちの尊い人命であります。ハイテク兵器は便利でありますが兵器自体は最終的な確認をしないということです。せいぜいが遠隔操作が関の山であり、そこに民間人が居ようがお構いなしということであります。言うなればこれは間違いなく非人道的兵器であります。
トマホークによる誤射があった場合、「それが戦争だ。」とフランクス米中央軍司令官あたりはまたしてもうそぶくのかもしれない。そう、確かにそれが戦争なのかもしれない。ハイテク兵器に彩られた米軍の感覚ではそれが戦争なのかもしれない。しかしこれは間違いもなく人命尊重を軽視する非人道的兵器であると私は考えております。そんな非人道的な兵器にしか頼れないのが現在の米国の真の姿であり、さらにこれまでに米国より発せられた人道的な案件に関する数々の発言についても懐疑的に見ざるを得ないと考えます。米国が抱える基本的な矛盾がここにも存在していると感じます。
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